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ゲームデータベース 3DO



タイトル:ゲックス
発売元 :BMGビクター
ハード :3DO
発売日 :1995/7/14
税抜価格:\6,800
ジャンル・対象:アクション
バリエーション:
Amazon検索:ゲックス

(取扱説明書より引用)

ついてない1日

あぁ、ハワイ。常夏の島、パラダイス。
有名な映画もあるけど、何てったってすごいのは、ヤモリ人口が世界で一番だってことさ。
そう、ヤ・モ・リ。そしてある日、大変なことが起こったんだ。

マウイ島の深い谷に、あるヤモリ一家が住んでいたんだ。
母さんヤモリが3匹と半分(シッポの再生の速さによって、
数が微妙に変わるんだ)の子供たちを育てていた。
父さんは、航空宇宙局で研究していて留守なのさ。
長男のゲックスは、なかなか頭の切れる奴で、いつも友達とサーフィンしたり、
ウクレレ弾いたり、女の子とパーティーをやったりしているのさ。

ある日、航空宇宙局から電話できたんだ。
内容は、父さんたちを乗せたロケットが、発射台の上で爆発したニュースだったんだ。
父さんたちは、無重力状態でタピオカプリンを食べたらどうなるかっていう
実験をすることになっていたんだけど、
燃料タンクにバンソウコウが入っていたのが爆発の原因だったそうだ。
せっかく築いてきた生活が、全てオジャンさ。

家族は、みんな嘆いていたよ。泣いたり、ケンカしたり、形見を探したり。
でも、ゲックスはぐっとこらえたよ。
そして、どんな時にも文句なしに奴らに安らぎを与えてくれる
”テレビ”の前に避難することにしたんだ。

ゲックスは知っていたんだ。
TVはイヤなことも忘れさせてくれる、いい友達になるってことをね。
アフリカのサバンナへ冒険に連れ出してくれたり、歌を歌ってくれるって言うんだ。
こういう連中が、ゲックスの本当の友達。

奴は、一生このゆかいな仲間といたいって思ってたんだ。

ゲックスの母さんが、どんなに頑張っても、
奴をその四角い箱の前から動かすことは出来なかったんだ。
困った母さんは、教会の牧師と仕事仲間に相談して、環境を変えることにしたんだ。
そして、ハワイを離れ新しい生活が始まった。カルフォルニアで・・・。

一週間前、カルフォルニアの新しい家の前に、引越トラックが止まった。
引越屋の兄さんたちが、ゲックスや愛するTVちゃんの入った荷物を運び込んでくると、
母さんは、「家族の新しい船出に感激だわ」と、大喜びしてた。
でもゲックスは、フフンと笑うと
「そういえばルーシーおばさんが、やっと更年期を終えた時も、それと全く同じことを言ってたぜ」
なんて言うんだ。
ゲックスは、父さんが死んだショックから、いまだに立ち直れないでいたんだ。
でも母さんには、ある考えがあったのさ。

その夜、隣に住むハーヴィーが、バスケット一杯のおやつを持って挨拶にやってきた。
そして、ゲックスの兄弟たちに虫入りチョコを渡しながら
「土曜の夜、みんなでカワイ子ちゃんを探しに行くんだけど、一緒に誰か行かないかなぁ」
なんて言うんだ。するとゲックスは、
「コリンなら絶対行くよ。あー、だけど土曜の夜は、デートの約束が2つあったはずだなぁー」だって。

困ったハーヴィーは母さんと耳打ちして、
ゲックスに「一緒に行ってくれないか」と頼んでみると、
「行きたいけど、土曜の夜は絶対にTVを見るって約束しちゃったんだよなぁー」
って言うもんだから、ア然。
で、「TVの見すぎじゃないの?外の空気も吸ってみたら?」と、言ってみた。
でも、ゲックスはTVから一瞬も目を離さずに、
「最後に外に出た時父さんは、たくさんのタピオカと一緒に爆発したんだよ」と、説明したんだ。
思いもよらない答えにハーヴィーは、そそくさと帰ってしまった。
母さんは一体、どうしたらいいんだろうか・・・?

次の日の朝、ゲックスは朝食をとりながらTVでも見ようと、下に降りてきた。
ところが、TVがない。一瞬体が動かない。
悪い冗談はやめてくれ!なんだよ、おかしくなんかないぞ!天井が回り始めた。
TVを見ないと大変な事になる。彼の手の小さな吸盤が、ふるえ始めた。
一体全体、どうしたっていうんだよー!!

その時、母さんが部屋に入ってきた。「TVを探しているなら無駄よ。
今朝早く、ジプシーにあげちゃったわよ」と言った。
「もう、いい加減にしてちょうだい。少しは普通のヤモリらしくしたらどうなの!
 ハエを取るとか、壁を歩く練習をするとか、舌打ちコンテストに出場するとか・・・。
 お願いだから、TVを見るのはやめてちょうだい!!」

ゲックスは信じられなかった。人生でたった一つの意味のあるものが失くなって、
母さんがその手引きをしたなんて・・・。
怒り狂ったゲックスは、「二度と戻らない」と言うと飛び出してしまった。
母さんは、「出て行かないで」と頼んだけれど、時すでに遅し・・・
彼女は、最後の一線を越えてしまったんだ。そして、これがその結果だった。

それからのことは、あまり覚えていないんだ。
ゲックスは、不良たちとスケボーをしたり、マンガの立ち読みをしたり、
友達の家のガレージで寝たり、とにかく奴の存在が目的のない、
ぼんやりとしたものになってきた。
TVの中の友達は、誰一人いないまま、
こうやって一生を過ごしていくかのようにみえた。ところが・・・。

ある日、”市長閣下”と呼ばれる姿の見えない友人
(長い間ホームレスでいると、ヤモリにこんな影響を与える)とスケボーをしていると、
黒いリムジンが、すーっと寄せてきた。
ゲックスがイチャモンをつけさせようとしたその時、
後ろの窓が静かに開き、なんと母さんが乗っていた。

母さんは、ゲックスを見つけた嬉しさを話し、素晴らしいニュースがある、と言った。
ゲックスが家出してから3日目、チャーリー大おじさんが亡くなり、
その膨大な遺産の全てをゲックスの家族に残したそうだ。
驚いたことにおじさんは、あの有名なゴルフウェアのモデルだったっていうんだ。
そして、わずかなモデル料で買った株の価値が、
今では、なんと20億ドルもあるっていうんだ。
やった!大金持ちだ!

ゲックスは、リムジンに飛び乗った。苦労は終わった。
新生活のスタートラインに立ったんだ。

それから数週間、家族全員が狂ったように買い物をした。
家や車や宝石を買い、政治家を買収。
母さんは、航空宇宙局の株を51%買い、全員クビにしてロケットは売りとばし、
コントロールルームをロボットチンパンジーがダンスする、テーマレストランに仕立て上げた。

兄弟たちは、行ってみたかったオーストラリアを買ってしまった。
でもゲックスは、贅沢品に全く興味をそそられなかった。
自分の遺産の分け前をポケットにつっ込むと、
散歩に出かけ「この金でどうしようか」と思いながら、歩いて歩いて歩き回った。
そして・・・ピンポーン!この金を使って、夢をかなえるんだ!!

1時間後、レストランにいる母さんに電話をして、さよならを言っていた。
ハワイに帰ってマウイ島で一番でっかい家を買って、
世界中で一番でっかいTVセットをそろえ、
何十年分もの食料を買い込み、閉じこもるんだ。
残りの人生を、TVの中の友達が信じられないような窮地に立たされたり、
わくわくするような冒険旅行に出かけるのを見て過ごすつもりだった。

母さんは、「元気でね、ロボットチンパンジーを直さなきゃ」と言って切った。
ゲックスも受話器を置くと、夢めざして向かって行った。

数日後、ゲックスはハエのいっぱい入ったボールを抱えて
ムシャムシャ食べながらTVの前に座り込み、
チャンネルを次々と変えているところだった。
「違う!こんなんじゃない!」と言いながら、何度もリモコン操作を繰り返していた。
変テコリンなアニメにこわ〜いホラー映画など・・・。
だけど、どれもこれもが、すっかり時代遅れの代物だった。
どのプログラムも、何百回と見ていて、あきあきしていた。
もっと違うものが見たいなぁーと思っていた。

ゲックスは、イライラしながらリモコンを電光石火の速さで押しまくっていた。
画面も何が何だかさっぱりわからない。すると、ハエが飛んできた。
ゲックスは、長い舌をひゅるひゅるっと出すと、パクッ。
はい、ごちそうさん。
でも、そのハエは発信機付ロボットバエだったんだ。
ゲックスは、盗聴されていたんだ。

突然ゲックスのリモコンがおかしくなり、TVが真白に。
巨大な手がスクリーンから飛び出してきて、彼の首根っこをひっつかまえた。
そして・・・ザザザザーーー。

そんな風にゲックスは、TVの中のメディアワールドに引っぱり込まれてしまったんだ。
その無気味な手は、レズーのものだった。
そいつがゲックスをネットワークの新しいマスコットにしようと企んでいた。
「孔雀はヤメだ。今度はヤモリがマスコットだ!」

ゲックスは、メディアワールド中に隠されたリモコンを見つけ出して脱出するしかない。
リモコンを手に入れると、次のワールドへの入口であるドアをふさいでいる
TVセットを破壊することができるんだ。
ゲックスTVを破壊すれば、やっと家に帰ることができる、というわけだ。
でなければ、彼のヤモリ人生はTVにとじ込められて、
ネットワークのマスコットとして終わってしまうことになるゾ!


方向キー ゲックスの移動
Aボタン ダンクラッシュ(舌を出して攻撃)・ゲェー攻撃
Bボタン テイルウィップ(強烈な尻尾の一撃)
Cボタン ジャンプ
Lボタン 走る